成人の肺炎球菌ワクチン

「肺炎球菌」は、肺炎・中耳炎・副鼻腔炎といった感染症の原因となる菌で、その名が示すように肺炎の原因としては最も多い菌です。時に「侵襲性肺炎球菌感染症」と呼ばれる髄膜炎や菌血症といった重篤な感染症をおこすことがあります。菌体表面の違いにより90種類近くに分類されますが、このうち人に感染を起こす菌は限られています。

この肺炎球菌による感染症を防ぐワクチンが肺炎球菌ワクチンです。年齢とともに免疫が低下すると、肺炎球菌による感染症を起こしやすくなるため、65歳以上の方に接種がすすめられています。

成人の肺炎球菌ワクチンは2種類(ニューモバックス、プレベナー、バクニュバンス)あります。

ニューモバックスは23種類の肺炎球菌の血清型に対応したワクチンで、幅広くカバーができます。一方で免疫を持続させる効果は少ないため5年おきの接種が勧められています。その年に65歳となる方は市の補助にて1500円で接種できます。(2回目の接種からは自費となります)。

プレベナー(20種類)、バクニュバンス(15種類)は肺炎球菌の血清型に対応したワクチンで、カバーできる範囲は少なくなりますが、接種にて免疫記憶が誘導されるため効果が長く続きます。1回の接種で終了となりますが、公費での補助はなく費用は10450円と少し高くなります。

どちらのワクチンを接種したほうがいいのでしょうか?

実は感染症学会・呼吸器学会では両方接種することが勧められています。

先にニューモバックスを打った場合にはプレベナー・バクニュバンスは1年後以降に接種します。同様に先にプレベナー・バクニュバンスを接種した場合には1年後以降ににニューモバックスを接種します。

公費負担があるニューモバックスは安価に接種できますが、結合型ワクチンを先に接種した方が免疫はつきやすいという意見もあります。

ただし、実際には両方接種した方がいいという明確な根拠は乏しいため、費用対効果を考えて、片方だけでも接種するという選択肢もあります。

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